日生劇場 二月大歌舞伎
昨日 日生劇場 夜の部の歌舞伎を観てきました。 演目は「 口上 」、「 義経千本桜 吉野山 」と「 通し狂言「 新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)通称 魚屋宗五郎 」の3つです。 特に 怪我をした「 市川染五郎 」の快気祝いも兼ねています。
元々「 日生劇場 」は芝居を観せる劇場ですが「 歌舞伎 」専門の劇場では無いので、椅子の一部を取り去り「 花道 」がわざわざ 作られていました。
最初は「 松本幸四郎 」による口上です。役者 幸四郎としてより、父幸四郎として、皆様にご挨拶、お詫び、お礼を申し上げたい」と、8月の末に怪我をして以来、休演、療養していた染五郎が、この公演で歌舞伎の舞台への復帰を果たすことについての思いを述べられていました。
二番目は「 義経千本桜 吉野山 」です。「 佐藤忠信実は源九郎狐 : 市川染五郎 」、「 静御前 中村福助 」による 踊りです。
「 源平合戦 」で平家は滅びたものの、手柄を立てた「 源義経 」は「 兄 頼朝 」と仲違いし命を狙われ、その「 義経の逃避行 」を描いた作品は、歌舞伎では「 勧進帳 」が有名ですが、「 奈良 吉野山( 密教の修行場として知られる吉野山金剛峰寺 )」の舞台となった「 義経千本桜 吉野山 」も「 川連法眼館( かわずらほうげんやかた 通称 四の切 )」と並び有名な作品です。
「 義経 」の恋人「 静 御前 」は、途中「 義経 」とはぐれてしまったが「 義経 」に会いたい為、吉野に居るとの噂を聞きつけて「 義経 」の元へと「 静 と 静に付き添って守る義経の家来「 源九郎忠信(げんくろう ただのぶ)」とが行く事になり、桜咲く初春の時 吉野の道を旅している。 「 義経 」より預かった初音の鼓を打っていると、佐藤忠信が「 花道 」の「 スッポン 」から現れます。 隣の席の 伯母様方は大拍手です。
前半は、「 静 」が「 義経 」を思って踊る、その振りが綺麗で見所です。又「 忠信 」は、実は狐なので微妙に挙動不審、でもやっぱり強くてかっこいい、というのも「 見所 」です。 中盤は「 義経 」を慕う二人が、「 忠信 」が賜った「 義経 」の鎧を 桜の切り株に立てて、鼓を顔に見立てて二人で「 義経 」と「 源平合戦 」の戦いの内容を偲びます。
この幕の前半部分は清元( 中竿の三味線を使った叙情的でメロディアスな節で、踊りや、お芝居でも恋愛物に向きます)
での踊りです。 そしてこの中盤の「合戦の様子を語る」部分からは、太棹の三味線を使った、「 義太夫節(竹本節) 」との「 掛け合い 」となりますが、ここが「 見所 ・ 聞き所 」です。 後半は悪人「 梶原平三 」の手下で三枚目の悪役「 逸見藤太( はやみのとうた : 中村亀鶴 )が出てきて二人を捕まえようと、立ち回りとなります。 立ち回りの前、藤太と家来の侍たち、「 花四天(はなよてん) 」の皆さんのやり取りが お笑いを 誘います。
桜満開の吉野山をバックにした 踊り ・ 立ち回り と美しい舞台を堪能しました。
最後は 河竹黙阿弥作の、通し狂言「 新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ) 」です。 弁天堂、お蔦(つた)部屋、お蔦殺し、魚屋宗五郎( さかなやそうごろう ) から構成されていますが、通常は「 魚屋宗五郎 」だけ 演じられる事が多いですが、今回 通しで観ることが出来ました。
あらすじ 前半は、タイトル通り、もともとは怪談の「皿屋敷」のストーリーが下地になって、3つ「 弁天堂・お蔦部屋・お蔦殺し 」より構成されています。 この場では「 魚屋宗五郎( 松本幸四郎 )」の妹「 お蔦( つた : 中村福助 )」は美人なので、とあるお旗本、磯部主計之助(いそべ かずえのすけ :市川染五郎 )様から、お妾奉公の声が掛かり殿様の屋敷に奉公しています。 「 弁天堂 」の場では、ある日 愛猫を探して弁天堂に来た所、横恋慕する岩上典蔵(大谷桂三 )に無体を仕掛けられて、帯が解けてしまい、気絶した所を丁度来合わせた「 浦戸紋三郎( 大谷友右衛門 )」に介抱されます。 しかし、お家横領の陰謀を知られた典蔵は、自分になびかぬ腹いせもあって、帯を証拠に不義密通の罪を着せます。 又ここでは皿屋敷の趣向を取り入れて、井戸の茶碗も使われているが、あくまで添え物という感じです。 「 だんまり 」もあり面白い場面です。 「 お蔦部屋 」の場では死を覚悟したお蔦と召使いおなぎ( 市川高麗蔵 )のやりとり中心となります。 「 お蔦殺し」の場では、主人磯辺主計之介( 市川染五郎 )が酒好きで、岩上兄弟からお蔦の不義( 浮気 )を吹き込まれて、「 お蔦 」を手討ちにしてしまいます。 「 お蔦 」は井戸に落ちて 死んでしまいます。
「 宗五郞 」の場では、宗五郎( 松本幸四郎 )は手振り(ぼてふり)の魚屋さん役です。 天秤棒で魚の桶を担いで街中を売り歩く商売ですから、あまり安定した職業ではありません。大酒飲みなので貧乏で、借金もあります。 ただ、酒飲みで酒癖が悪い宗五郎ですが、妹が死んでから禁酒をして、しめやかに妹を 家族「 宗五郎女房おはま( 中村福助 )、父親太兵衛( 松本錦吾 )、小奴三吉( 中村亀鶴 )」で偲びながら、頑張って悲しみから立ち直ろうとしているのです。
ここで、酒樽が届けられます。 届けに来たのは 酒屋の丁稚 与吉( 松本金太郎 : 染五郎の長男 )です。 可愛くって劇場内は 大拍手でした。 台詞も可愛いです「 何で酒屋になったんだい? おいら お酒の味が好きなんだと 」ホント 可愛かったです。 お酒は お蔦の同僚だった、腰元のおなぎ( 市川高麗蔵 )さんがお悔やみに贈った物で、訪ねて来て、お蔦が 嫌疑を掛けられて 殺された事を暴露します。 悔しさの余り、酒を断っていたのに、妹を殺された事情を聞いて、「 呑まずにゃいられねぇや 」と湯呑みに注がせた最初の一杯を息もつかずに呑み、二杯、三杯、と次第に酔いがまわって、その内に酒樽を引ったくって呑み、家人の制止も聞かず、とうとう二升樽もの酒を呑み干して暴れるんですね。
それも、ただの酒乱じゃないところが、この場の 宗五郞役の役者の見せ所です。 妾奉公に妹を出した支度金で一家の借金を払ったいきさつがあるだけに、妹が手討ちにあって死んだのは、妹を売った自分が悪いんだ、という宗五郎のやり場のない悲しみや悔しさが酔態の中で描かれるという場面です。 最後は、酔っぱらった宗五郎が、家族の静止を振り切って「 磯部の殿様のお屋敷に乗り込みます。 殿様のお屋敷の玄関先で、宗五郞は、妹お蔦の嫁入りの支度金でまとまったお金を戴いて、お蔦の支度をしてもまだ残ったので借金を返し、更に「まず盤台から天秤棒、のこらず新規にこしれえて、魚は芝の活もの(いけもの)を、安く売るからじきに売れ、毎日銭はもうかって」と、お殿様のお陰で商売がうまく行くようになって嬉しかった事を語ります。 ここも見所の一つです。 気っ風の良い 江戸時代の魚屋さんを生き生きと演じています。 気っ風の良い魚屋さんでは他に「 一心 太助 」が有りますね。
お手討ちになりそうな暴れっぷりの宗五郎ですが、ご家老「 浦戸十左衛門( 市川左團次 )」様のお計らいでその場は収まります。 宗五郎は、庭に連れて行かれ、お殿様の磯部主計之助様に会い殿様も反省して、お互い許しあい、お蔦を偲ぶのでした。
今回 悪役の一人に ひどい
役者がいました。 芸が下手、話し方も下手。
以前「 尾上菊五郎 」演じる「魚屋宗五郎 」を観ましたが、又「 幸四郎 」とは違った 味わいを演じていました。
22日まで「 新歌舞伎座 」の試験ライトアップがされていました。
元々「 日生劇場 」は芝居を観せる劇場ですが「 歌舞伎 」専門の劇場では無いので、椅子の一部を取り去り「 花道 」がわざわざ 作られていました。
最初は「 松本幸四郎 」による口上です。役者 幸四郎としてより、父幸四郎として、皆様にご挨拶、お詫び、お礼を申し上げたい」と、8月の末に怪我をして以来、休演、療養していた染五郎が、この公演で歌舞伎の舞台への復帰を果たすことについての思いを述べられていました。
二番目は「 義経千本桜 吉野山 」です。「 佐藤忠信実は源九郎狐 : 市川染五郎 」、「 静御前 中村福助 」による 踊りです。
「 源平合戦 」で平家は滅びたものの、手柄を立てた「 源義経 」は「 兄 頼朝 」と仲違いし命を狙われ、その「 義経の逃避行 」を描いた作品は、歌舞伎では「 勧進帳 」が有名ですが、「 奈良 吉野山( 密教の修行場として知られる吉野山金剛峰寺 )」の舞台となった「 義経千本桜 吉野山 」も「 川連法眼館( かわずらほうげんやかた 通称 四の切 )」と並び有名な作品です。
「 義経 」の恋人「 静 御前 」は、途中「 義経 」とはぐれてしまったが「 義経 」に会いたい為、吉野に居るとの噂を聞きつけて「 義経 」の元へと「 静 と 静に付き添って守る義経の家来「 源九郎忠信(げんくろう ただのぶ)」とが行く事になり、桜咲く初春の時 吉野の道を旅している。 「 義経 」より預かった初音の鼓を打っていると、佐藤忠信が「 花道 」の「 スッポン 」から現れます。 隣の席の 伯母様方は大拍手です。
前半は、「 静 」が「 義経 」を思って踊る、その振りが綺麗で見所です。又「 忠信 」は、実は狐なので微妙に挙動不審、でもやっぱり強くてかっこいい、というのも「 見所 」です。 中盤は「 義経 」を慕う二人が、「 忠信 」が賜った「 義経 」の鎧を 桜の切り株に立てて、鼓を顔に見立てて二人で「 義経 」と「 源平合戦 」の戦いの内容を偲びます。
この幕の前半部分は清元( 中竿の三味線を使った叙情的でメロディアスな節で、踊りや、お芝居でも恋愛物に向きます)
での踊りです。 そしてこの中盤の「合戦の様子を語る」部分からは、太棹の三味線を使った、「 義太夫節(竹本節) 」との「 掛け合い 」となりますが、ここが「 見所 ・ 聞き所 」です。 後半は悪人「 梶原平三 」の手下で三枚目の悪役「 逸見藤太( はやみのとうた : 中村亀鶴 )が出てきて二人を捕まえようと、立ち回りとなります。 立ち回りの前、藤太と家来の侍たち、「 花四天(はなよてん) 」の皆さんのやり取りが お笑いを 誘います。
桜満開の吉野山をバックにした 踊り ・ 立ち回り と美しい舞台を堪能しました。
最後は 河竹黙阿弥作の、通し狂言「 新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ) 」です。 弁天堂、お蔦(つた)部屋、お蔦殺し、魚屋宗五郎( さかなやそうごろう ) から構成されていますが、通常は「 魚屋宗五郎 」だけ 演じられる事が多いですが、今回 通しで観ることが出来ました。
あらすじ 前半は、タイトル通り、もともとは怪談の「皿屋敷」のストーリーが下地になって、3つ「 弁天堂・お蔦部屋・お蔦殺し 」より構成されています。 この場では「 魚屋宗五郎( 松本幸四郎 )」の妹「 お蔦( つた : 中村福助 )」は美人なので、とあるお旗本、磯部主計之助(いそべ かずえのすけ :市川染五郎 )様から、お妾奉公の声が掛かり殿様の屋敷に奉公しています。 「 弁天堂 」の場では、ある日 愛猫を探して弁天堂に来た所、横恋慕する岩上典蔵(大谷桂三 )に無体を仕掛けられて、帯が解けてしまい、気絶した所を丁度来合わせた「 浦戸紋三郎( 大谷友右衛門 )」に介抱されます。 しかし、お家横領の陰謀を知られた典蔵は、自分になびかぬ腹いせもあって、帯を証拠に不義密通の罪を着せます。 又ここでは皿屋敷の趣向を取り入れて、井戸の茶碗も使われているが、あくまで添え物という感じです。 「 だんまり 」もあり面白い場面です。 「 お蔦部屋 」の場では死を覚悟したお蔦と召使いおなぎ( 市川高麗蔵 )のやりとり中心となります。 「 お蔦殺し」の場では、主人磯辺主計之介( 市川染五郎 )が酒好きで、岩上兄弟からお蔦の不義( 浮気 )を吹き込まれて、「 お蔦 」を手討ちにしてしまいます。 「 お蔦 」は井戸に落ちて 死んでしまいます。
「 宗五郞 」の場では、宗五郎( 松本幸四郎 )は手振り(ぼてふり)の魚屋さん役です。 天秤棒で魚の桶を担いで街中を売り歩く商売ですから、あまり安定した職業ではありません。大酒飲みなので貧乏で、借金もあります。 ただ、酒飲みで酒癖が悪い宗五郎ですが、妹が死んでから禁酒をして、しめやかに妹を 家族「 宗五郎女房おはま( 中村福助 )、父親太兵衛( 松本錦吾 )、小奴三吉( 中村亀鶴 )」で偲びながら、頑張って悲しみから立ち直ろうとしているのです。
ここで、酒樽が届けられます。 届けに来たのは 酒屋の丁稚 与吉( 松本金太郎 : 染五郎の長男 )です。 可愛くって劇場内は 大拍手でした。 台詞も可愛いです「 何で酒屋になったんだい? おいら お酒の味が好きなんだと 」ホント 可愛かったです。 お酒は お蔦の同僚だった、腰元のおなぎ( 市川高麗蔵 )さんがお悔やみに贈った物で、訪ねて来て、お蔦が 嫌疑を掛けられて 殺された事を暴露します。 悔しさの余り、酒を断っていたのに、妹を殺された事情を聞いて、「 呑まずにゃいられねぇや 」と湯呑みに注がせた最初の一杯を息もつかずに呑み、二杯、三杯、と次第に酔いがまわって、その内に酒樽を引ったくって呑み、家人の制止も聞かず、とうとう二升樽もの酒を呑み干して暴れるんですね。
それも、ただの酒乱じゃないところが、この場の 宗五郞役の役者の見せ所です。 妾奉公に妹を出した支度金で一家の借金を払ったいきさつがあるだけに、妹が手討ちにあって死んだのは、妹を売った自分が悪いんだ、という宗五郎のやり場のない悲しみや悔しさが酔態の中で描かれるという場面です。 最後は、酔っぱらった宗五郎が、家族の静止を振り切って「 磯部の殿様のお屋敷に乗り込みます。 殿様のお屋敷の玄関先で、宗五郞は、妹お蔦の嫁入りの支度金でまとまったお金を戴いて、お蔦の支度をしてもまだ残ったので借金を返し、更に「まず盤台から天秤棒、のこらず新規にこしれえて、魚は芝の活もの(いけもの)を、安く売るからじきに売れ、毎日銭はもうかって」と、お殿様のお陰で商売がうまく行くようになって嬉しかった事を語ります。 ここも見所の一つです。 気っ風の良い 江戸時代の魚屋さんを生き生きと演じています。 気っ風の良い魚屋さんでは他に「 一心 太助 」が有りますね。
お手討ちになりそうな暴れっぷりの宗五郎ですが、ご家老「 浦戸十左衛門( 市川左團次 )」様のお計らいでその場は収まります。 宗五郎は、庭に連れて行かれ、お殿様の磯部主計之助様に会い殿様も反省して、お互い許しあい、お蔦を偲ぶのでした。
今回 悪役の一人に ひどい
役者がいました。 芸が下手、話し方も下手。以前「 尾上菊五郎 」演じる「魚屋宗五郎 」を観ましたが、又「 幸四郎 」とは違った 味わいを演じていました。
22日まで「 新歌舞伎座 」の試験ライトアップがされていました。

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